定電圧電源 その5【ダイアモンド GSV-3000 ブリッジダイオード素子の比較】

<2022年01月08日>
過去の故障時の連続送信を再現

【米国(CHINA) vs 中華 vs 日本】
【ディレーティングカーブ Tc-Io(ケース温度-出力電流)】

【追記 シリコーングリスの塗り方が原因かも?】

 これまで4回もブリッジダイオードを交換する羽目になりましたが、代替品は4個とも中華製です。

 破壊の原因をいろいろ考察してみますが、その根本はブリッジダイオードの素性にあるのかもしれません。

 過去の故障時の連続送信を再現しながら、実際の温度を観測するのがベストだと思いますが、残念ながら測定センサーを持っていません。

 そこで、3種類の連続送信試験を行い、GSV-3000の電源OFFから【サーモスイッチによる空冷ファンOFFディレイ】で自動的にファンが停止するまでの時間を測定し、簡易的にヒートシンク部の過熱状態を比較してみます。

 ただし、現在は電源ONで高速回転しますので、相対的なことしか言えません。

GSV-3000素子
 最初に壊れたブリッジダイオードですが、横に印刷してある内容から『①のVishay Intertechnology製』だと思われます。

 購入から3年目(2021年1月)、オーディオアンプのインターフェア試験でCWキャリア100W連続送信を長時間繰り返した後、即座に電源OFFしたため冷却不足となり昇天しました。(空冷ファンOFFディレイ未設置)


ディレーティングカーブ Tc-IoVishay GBPC 3504
①GSV-3000素子同等品
米国 (CHINA)
メーカー Vishay Intertechnology
GBPC3504、35A 400V
温度ディレーティングは、30Aで約70℃
RS-onlineで@738


【再現試験 A】
 14MHz CWキャリア100W連続送信⇒3分間 ⇒IC-7610電源OFF⇒GSV-3000電源OFF
 ⇒空冷ファンOFFディレイ作動 ⇒自動停止時間 3分45秒

ディレーティングカーブ Tc-IoYangzhou Yangjie KBPC BR5010
②故障時の代替品、中華製
メーカー Yangzhou Yangjie
KBPC BR5010、50A 1000V
温度ディレーティングは、30Aで約83℃
秋月電子で、@300


 オリジナル素子が35Aで定格ギリギリだったため、代替品として購入しました。

 2度目の故障は、日常のFT8長時間運用後の電源OFF時。
 3度目の故障は、8月のSSTVコンテストでの長時間運用後の電源OFF時。(2020年コンテストは無事だった)
(いずれも空冷ファンOFFディレイ未設置)

【再現試験 B】
 3.5MHz FT8 連続運用⇒30分間 ⇒IC-7610電源OFF⇒GSV-3000電源OFF
 ⇒空冷ファンOFFディレイ作動 ⇒自動停止時間 3分


 その後「空冷ファンOFFディレイ」を設置し、快適に運用。していたはずが、4度目の故障。
 前記事のとおり、Scottie1モード送信途中で、驚愕の破裂。

【再現試験 C】
 14MHz SSTV Scottie1モード2回連続送信⇒4分間 ⇒IC-7610電源OFF⇒GSV-3000電源OFF
 ⇒空冷ファンOFFディレイ作動 ⇒自動停止時間 5分15秒


ディレーティングカーブ Tc-Io新電元工業 S50VB60
③今後の候補品、日本製
メーカー 新電元工業
S50VB60、50A 600V
温度ディレーティングは、30Aで120℃
RS-onlineで、@2,460


 もしも5度目壊れたら、最有力候補の日本製です。(ちょっと高価ですが)

 形状・寸法・ネジ位置が異なるので、工夫が必要です。(カイショウ)

パッケージ外観図ファストン端子 #250メス
④ファストン端子
Io=30Aを超える場合、外部接続はリード線とし、ハンダ付けにて接続

(Io=30A以下はファストン端子メス型の使用可)


 実は、度重なるブリッジダイオード交換作業で、端子への太い配線が少しずつ短くなっていき、ハンダ付け処理の限界が近づいています。(苦)

 GSV-3000の最大定格は「連続30A(13.8V時)8時間」となっていますが、IC-7610 100Wでは連続22Aです。

 ということで、今後も度重なる交換が必要となったときには、ファストン端子を使おうかと考えています。

 現状の「②KBPC5010 & 常時強制空冷 & 空冷ファンOFFディレイ」の組み合わせで長持ちしてくれるのがFBなんですが、これまでの経過から考えて中華製の劣化速度は不安です。

 今度壊れるとしたら、4月頃・・・?(笑)

 連続送信や長時間運用が続いた場合、肝心のIC-7610本体も冷えてから電源OFFした方が安全なので、シャックを離れる際には、もう5分間バンドサーフィンしてから全部の電源を落とすように心掛けたいと思います。(珍局が見つかるかもしれませんし・・・)

【追記 シリコーングリスの塗り方が原因かも?】
 その後、CQ誌に記事を書かれているOMさんとQSOする機会があったので熱に関することを伺いました。

 接合温度・熱抵抗・熱損失の関係など話していただきましたが、年老いた田舎のラジオ少年の勉強不足が露呈するばかり。(汗)

 その中で、分かり安かったのは「シリコーングリスの塗り方」で、放熱を思うばかりに厚く塗りすぎると逆効果とのこと。

×印
 塗り方はシンプルで、塗布面(素子面とヒートシンク面)にマジックで×印を書いておき、その×印が薄く見える程度に塗るというものです。(なーるほど)


厚塗り

 塗り方を試してみましたが、前回はこのくらい塗っていたかもしれません。

 4回目の暴発は、厚塗りが主因だったかもしれません。(汗)


薄塗り

 薄めのプラスチックカードで均してみましたが、ちょっと削り過ぎでしょうか?


 

 
 

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