リミッティングアンプ製作 その18【バージョンアップ LMA81XB】

<2017年10月17日>
パチンと音がする?

【アタック・タイムの高速化 OPアンプ交換】【独自にLine out増設も】

 
 年老いた田舎のラジオ少年がアマチュア無線にカムバックするきっかけの一つとなったのが、2008年に「前動型リミッティングアンプ」を製作したことでした。
 ローカルOMの協力により何とか完成し、HF運用には欠くことができないアンプとなりその後9年間運用してきました。

SDRモニタ-

 ある日、7MHzにアクティブなローカル局とラグチューをしていると「時々音声が急に小さくなる。」「以前の音と違うが、設定を変えたのでは。」というリポートをもらいました。

 早速SDRで録音しモニターしてみると、ところどころ「パチン」という小さな異音が聞こえます。
 そのパチンというときに急峻なリミッティングがかかり音声が急に小さくなるようです。



OPアンプ選別冶具回路

 原点の製作記事はCQ誌2006年4月号ですが、設計者の方はその後も改良実験を重ねて来られ、2011年12月に改良型リミッティングアンプを発表されていました。
 物まねをしているだけの当局には、設計者のアマチュア精神に本当に頭が下がります。

 保存している記事ファイルを読み返すと「10dB圧縮がかかる程度の入力のときに、立ち上がりの早い音声信号が入ると、たまにパチンという小さな異音が入る件を解消」という記述があります。

 DXの真似事をするようになってからリミッティングアンプの設定を、「リミットを深く」「リリースTimeを短め」「イコライザをハイブースト、ローカット」にしています。
 少しでも明瞭度を上げたいというささやかな気持ちからですが(無駄な抵抗・・・)。

 その設定が「10dB圧縮・立ち上がりの早い音声信号」という条件を発生しやすくしたのかもしれません。

 改良記事の一番は、アタックタイムを約150μsecから約20μsecに短くできたので、たまにパチンという異音が入る件が解消できたこととあります。
 その方法は、オリジナル版で使っていたJFET入力タイプのOPアンプ「LF412」を、改良版では、オフセット電圧が小さく速度的特性など高性能な「OPA2134」に交換するというものです。


OPアンプ選別治具
 
 OPアンプはオフセット電圧の小さなものを選別します。
 選別のための治具は前回作ったものを使いますが、一時的なものと思っていたのでバラック仕立てのままです。(汗!)




オフセット電圧測定
 
 OPA2134はOPA2134PAを使いますが選別のため10個注文しました。
 オフセット電圧は0.3mV以内のものを選別します。




OPA2134PA選別
 
 選別の結果、10個のうち5個が0.3mV以内でした。
 特に制御信号作成回路のIC3、IC4はオフセット電圧の小さなものを使います。




LMA-81XB

 当局のリミッティングアンプは製作に自信がなかったのでICソケットにしていました。
 そのソケットが功を奏して今回のOPアンプ交換を簡単にしました。

 この改良によりパチン音は出なくなりましたが、通常運用は「リミットは0dB付近」「リリースTimeは長く」「イコライザはフラット」に戻します。
 この設定でも、くしゃみとか過大入力が入った場合、瞬間的にリミットが深くかかり送信出力オーバーになることはありません。


 その他の改良点「ホールド用の時定数回路を2重時定数に変更」「メータの逆ぶれ防止のための改造」「ALC回路の改造」は以前に実施済です。



Line out

 なお、当局のJST-135にはバラモジに直接入力できるLine-in(0dBu)がありますので、余っているIC6Bを利用してLine outを増設しました。

 オリジナル機の出力は実測315mVp-p 110mVrms(-16.8dBu)ですので、約20dB増幅し出力調整用のボリュームを付けています。

 これでRigのマイクコネクタ系とアクセサリコネクタ系の両方の入力に対応できます。


 リポートをくれたローカル局はHiFi運用で本当に耳がいいんです。
 おかげさまで一石二鳥のバージョンアップができました。(感謝!!)

 

 
 

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